先週11月26日に、事業再生協議会が申請していた仲裁機関である「事業再生ADR」(注1)について、経済産業省は認証をしました。
これで、銀行団との間だけで、事業再生を裁判所外での仲裁という手続きで債権カットをしてもらうヴェニューがひとつ増えました。商取引の取引先(仕入先・下請け)に迷惑を掛けずに、金融債権をカットをしてもらえるのは、メリットが大きいでしょう。
リンク: 総合/中小再生、迅速化目指す 経産省、月内にもADR制度 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE.
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200811150120a.nwc
ただし、この事業再生ADRが対象とするのは、昨年3月に解散した産業再生機構が扱ったような大型案件を対象にしているような感じがします。中小企業にはどうかな???
第一に、費用面で、負債20億の場合で、ADRへの支払い800万(3ヶ月位で3回の合計)+CPA費用+顧問弁護士費用ということです。手続き中の銀行への返済をストップさせてもらうことは当然でしょう。オートマチック・ステイは立法してもらいたいところです(注2)。
第二に、銀行借入残高のカットが得られたとしても、原則として経営者責任・株主責任が要求されてしまっては、中小企業としては足踏みしてしまいますね、経験上。東京地裁民事八部の特定調停で、息子へのバトンタッチということで成功した経験はありますが。
第三に、中小企業再生支援協議会も、当初は債権カットが得られると期待されていたのに、現実にはいわゆる「リスケ」にしかなっていません。という現実があるので、中小企業にはこの事業再生ADRの恩恵はないのかも知れません。
上記の3点は、(内部での情報でHPにも公表前らしいので)、幹部諸先生にご配慮を願いたい諸点です。今どき、20億円超を借りたまま生き続けている中小企業をお見かけしないのです。私ども中堅弁護士は。
『再生マーケット』とかの用語をお使いの、「お金の単位は億円でしか数えないし、自分のフィーもそうだ。」という面々に、諸弁護士先輩が乗せられているのではないかと危惧します。
(注1)ADRは、Altanative Dispute Resolution(裁判外紛争解決手段)だが、「事業再生ADR」では自らの固有名詞とすることにしました。
(注2)米法との比較法的には、Automatic StayとOrdenary course of bissinessが立法的に必要です。未だに立法されないのは、日本国家が独自性を主張しているのか、邦銀が反対してアメリカ金融からの優位性を確保しようとしているのか、いずれにせよ中小企業が犠牲になっています。
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