『内定取り消し』事例は、
労働契約成立後の「解雇」と認定すべき事例がほとんどです。弁護士なので、紛争になってからの事例考察なのですが。
「内定」という言葉に誤魔化されないように、
注意が必要です(注1)。
そして、整理解雇と同様の4要件がなければ
解雇できないと考えた方が無難です(注2)。
整理解雇できる場合でも、代償措置としての金銭解決をして要件を満たすようにします。その金銭は、退職勧奨パッケージなどと呼ばれます。
その点、日本綜合地所は、補償100万円
を申し出て謝罪したという点で立派です。
ニュースになってから申し出たにしても。
リンク: 産業/日本綜合地所の内定取り消し 53人に100万円ずつ補償 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE.
2008/12/10
同社は内定者に宅建取得を求め、専門学校の学費は一部を同社が負担したが、約10万円は自己負担したという。 (中略)
日本綜合地所によると、同社では当初、内定を取り消した学生に対し42万円を支払う予定だった。しかし取り消し後、役員らが学生を個別訪問し謝罪した際、再び就職活動をしなければならないなど苦しい状況が浮き彫りに。「会社として最大限できることをやっていく必要性を感じた」(広報担当)ため、増額することに決めたという。 
転職雑誌のおかげかリストラ旋風のおかげか、
転職も自然な選択、
との感覚の人が増えているかもしれません。
いつでも理由なく解雇出来る
という労働慣行が確立すれば、正社員再就職も楽になるかもしれません。
そういう社会でも「正社員」という用語が残るとは、考えませんが。
試用期間中に、「社風に合わない。」と言われれば、
転職した方が幸せになれるかもしれません(注3)。
とくに、ヘッドハントされた外資系高給社員の場合などでは、そのような事例に出くわします。
新卒採用内定取り消しの問題は、
「面接の時とは、言葉使いも髪型も、別人のようだ。」
との事情さえない場合を想定しての、
学生側に非がない解雇です。
前のブログで、
大学院の学費位を補償したらどうだろう、
と書きました。
大学院に進学できる学生ならば、内定取り消しにあったからといって、へこたれたりしないかもしれませんね。
大多数の学生はそうではない、と思いますけれど。
それに、まだ、
新卒就職はステップアップの踏み台にしか過ぎない、
などと考える学生が多数派とは思われません。
また、そういう学生を採用する企業が多数派とも思われません。
新卒就職試験は、凡庸な学生にとって人生の一大事です。
文系大学生達は、靴をすり減らして汗をぬぐいながら就職活動を続けて内定を貰い、
自分で就職できる最も良い会社
に、「入社誓約書」を提出するのです。
「課長くらいにはなって、定年まで勤め上げたい。」と、
夢見ても罪ではないでしょう。
言われるままに「内定辞退書」を提出するような学生
しか採用できない企業には同情をします。
何らの非もない学生に「内定辞退書を書け」と通知する
人事担当者にも、同情します。
この問題は、経営者の技量でバランスをとって戴くべき、
重要課題です。
リンク: 内定取り消しも頷ける、日本綜合地所の厳しい経営の実情 | 企業戦略 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン.
08/12/22 | 09:32
内定者の想定初任給は21万円。1年分としても全員で1.3億円強。この程度の資金が払えないとはとても思えないが、実は同社の資金繰りが厳しい状況に入っていることも事実だ。
(中略) 現行のマンション販売状況からすると、依然として資金繰りは厳しい状態が続いているわけだ。同社としては、物件売却による資金回収を急ぐ方針だが、これは当然業績への影響のつながる。マンション不況の底入れ時期が見えないだけに、あらゆる手段を取らざるを得ないというのが実情のようだ。
(日暮 良一)
マクロから見ると、新卒採用内定取り消しの学生数で新聞紙上の失業率が上昇するというほどの数字ではないでしょう。「派遣切り」のほうが、経済的・社会的・外交的に大問題です。失業率にも少しくらい影響するかも知れません。
まして、内定取り消しされた新卒の消費行動なんて、統計的にはまったく無意味でしょう。
だだ、弁護士の仕事は、ほとんどマクロに関わりません。
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(注1)大日本印刷事件、近畿電通局事件、インフォミックス事件など参照
(注2)卒業出来なかったとか、入社条件であれば「宅建」不合格とか、の場合などの、正当な理由での内定取り消しは別です。「宅建」は、宅地建物取引主任の資格試験のことです。入社条件だったかどうかまでは分かりません。
(注3)ただし、新卒社員が再就職先を見つけずに辞表を書くと、このご時世、ネットカフェ難民になる可能性大です。トイレ掃除をさせられても、転職先が決まるまで我慢しましょう。
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